2級建築施工管理技士 過去問
令和7年(2025年)前期
問9 (ユニットB 問5)

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問題

2級建築施工管理技士試験 令和7年(2025年)前期 問9(ユニットB 問5) (訂正依頼・報告はこちら)

基礎杭に関する記述として、最も不適当なものはどれか。
  • 既製コンクリート杭のセメントミルク工法は、根固め液が流出するおそれがあるため、伏流水がある地盤には適していない。
  • 既製コンクリート杭の中掘り工法は、杭の中空部から掘削土を排出しながら杭を圧入するもので、杭径の大きなものの施工に適している。
  • 外殻鋼管付きコンクリート杭(SC杭)は、一般に継杭の上杭として、遠心力高強度プレストレストコンクリート杭(PHC杭)と組み合わせて用いられる。
  • 場所打ちコンクリート杭では、地盤の種類によらず、杭とその周囲の地盤との摩擦力を杭の支持力に見込むことができない。

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この過去問の解説 (2件)

01

 杭は、建築物や構造物を支持するとても重要な部位を担うもので、その工法を大別すると下表のようになります。

 これらは、さらに各メーカーにより開発された工法に細分化され、支持力の算定式も異なるなど多岐にわたります。

 工法を選択する際は、載荷する建築物や構造物の重さや規模、杭径や深度、地盤の性状、敷地の状況などが重要になります。

 

基礎杭既製杭打ち込み工法打撃工法
バイブロハンマー工法
埋め込み工法プレボーリング工法
中堀り工法
鋼管ソイルセメント杭工法
回転杭工法回転圧入杭工法
場所打杭機械掘削工法アースドリル杭工法
リバース工法
オールケーシング工法
リバースサーキュレーション工法
人力・機械掘削工法深礎工法

 

選択肢1. 既製コンクリート杭のセメントミルク工法は、根固め液が流出するおそれがあるため、伏流水がある地盤には適していない。

 セメントミルク工法は、既製杭の埋め込み工法ープレボーリング工法の一つで、掘削面(孔壁)の保護にセメントミルク(セメント、水、ベントナイトを練り合わせたもの)を注入しながら、アースオーガーで到達深度まで掘り進めていくものです。

 ※ベントナイト…粘土鉱物の一種で、吸水性があり高い粘着性と膨張性で孔壁を保護します。

 

選択肢2. 既製コンクリート杭の中掘り工法は、杭の中空部から掘削土を排出しながら杭を圧入するもので、杭径の大きなものの施工に適している。

杭本体に孔壁保護の役割をもたせ、中空部に設置したアースドリルで掘削して、杭を埋沈させていくため、排土量が少ない経済的な工法です。

選択肢3. 外殻鋼管付きコンクリート杭(SC杭)は、一般に継杭の上杭として、遠心力高強度プレストレストコンクリート杭(PHC杭)と組み合わせて用いられる。

SC(Steel Composite Concrete PIles)杭(外殻鋼管付きコンクリート杭)は、大きな曲げに強い鋼管で被覆したコンクリート杭です。高価でもあるため、主に継杭のうち水平力の働く上杭に使用されます。
PHC(Prestressed High-strength Concrete)杭(遠心力高強度プレストレスコンクリート杭)は、遠心力で成形した設計基準強度80N/mm2以上の高強度コンクリート杭で、よく使われる杭の一つです。有効プレスト量により A種(4N/mm2)B種(8N/mm2)C種(10N/mm2)に区分されます。

選択肢4. 場所打ちコンクリート杭では、地盤の種類によらず、杭とその周囲の地盤との摩擦力を杭の支持力に見込むことができない。

場所打杭は、現場で鉄筋かごを建て込み、コンクリートを打設して作るものです。その支持力は、先端支持力と周辺摩擦力の合計になります。  
  杭の許容支持力Ra=150/3・平均N・AP+1/3(10/3平均Ns・Ls+1/2平均qu・Lc)・φ

 

N:杭先端付近(杭先端から下へ1D、同上部へ4Dの範囲)のN値の平均(ただしN≦60)

AP:杭先端の有効断面積(m2)

Na:杭周辺の地盤のうち砂質地盤のN値の平均(ただしN≦30

La:杭周辺の地盤のうち砂質地盤に接する長さの合計(m)

qu:杭周辺の地盤のうち粘土質地盤の一軸圧縮強度の平均値(kN/m2)(ただしqu≦200)

Lu:杭周辺の地盤のうち粘土質地盤に接する長さの合計(m)
φ:杭の周長(m)   
  ※下線部が周辺摩擦力の式になります。

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02

最も不適当なものは、「場所打ちコンクリート杭では、地盤の種類によらず、杭とその周囲の地盤との摩擦力を杭の支持力に見込むことができない。」です。

この問題は、それぞれの杭の工法や材料の特徴を正しく覚えているかを確かめるものです。
特に大事なのは、場所打ちコンクリート杭でも、条件によっては周面摩擦力を支持力に見込むことがあるという点です。したがって、「地盤の種類によらず、見込めない」と言い切っている記述は合っていません。

選択肢1. 既製コンクリート杭のセメントミルク工法は、根固め液が流出するおそれがあるため、伏流水がある地盤には適していない。

これは正しいです。
セメントミルク工法では、根固め液杭周固定液を使って杭を支えるしくみをつくります。ところが、伏流水があると、こうした液が流されやすくなります。実際に、協会の資料でも、流速のある伏流水がある地盤では注意や対策が必要とされており、別の試験資料でもセメント分が流出するため不適当という説明があります。

選択肢2. 既製コンクリート杭の中掘り工法は、杭の中空部から掘削土を排出しながら杭を圧入するもので、杭径の大きなものの施工に適している。

これは正しいです。
中掘り工法は、杭の中空部にオーガを入れて先端の地盤を掘り、その土を杭の中を通して上に出しながら杭を沈めていく工法です。国土交通省の資料や業界団体の資料でも、そのように説明されています。
また、適用杭径として400~1000mm程度が示されており、比較的大きめの杭にも使われる工法です。

選択肢3. 外殻鋼管付きコンクリート杭(SC杭)は、一般に継杭の上杭として、遠心力高強度プレストレストコンクリート杭(PHC杭)と組み合わせて用いられる。

これは正しいです。
SC杭は、外側に鋼管が付いているので、強さやねばり強さが大きい杭です。いっぽうで高価になりやすいため、協会の説明では、経済性を考えて主に上杭として使われるとされています。
実際に、SC杭を上杭、PHC杭を下杭として組み合わせた例も示されています。

選択肢4. 場所打ちコンクリート杭では、地盤の種類によらず、杭とその周囲の地盤との摩擦力を杭の支持力に見込むことができない。

これは不適当です。
杭の支持力は、先端で支える力だけでなく、杭のまわりの地盤との摩擦力で支える場合もあります。日本建設業連合会の施工管理指針でも、杭の支持性能は、先端支持力に期待する場合周面摩擦力に期待する場合その両方に期待する場合があると整理されています。
また、国土交通省の資料でも、支持層が深いときは摩擦杭の採用を検討することが示されています。ですから、場所打ちコンクリート杭について「地盤の種類によらず、周面摩擦力を見込めない」とするのは言いすぎです。

まとめ

この問題では、場所打ちコンクリート杭の支持の考え方がいちばん大切です。
杭は、先端支持力だけで支えるとは限らず、周面摩擦力を使って支えることもあるので、その点を一律に否定する記述は合っていません。

あわせて、
セメントミルク工法は伏流水に弱いこと
中掘り工法は杭の中から排土する工法であること
SC杭は上杭としてPHC杭と組み合わせて使われやすいこと
も一緒に覚えておくと、似た問題でも判断しやすくなります。

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